もう一つのナイチンゲール
5月10日の記事「愛鳥週間」で、ブラームスの歌曲に出現する鳥のリストを作り、ナイチンゲールつまり小夜鳥が、最多登場だと書いた。鳴き声の美しい鳥として認知されているようだ。
さて、ブラームスは弦楽五重奏曲第2番の完成後、創作力の衰えを自覚し、作曲を控える決断をした。ところが、この決意はあるクラリネット奏者との出会いによって撤回される。
彼の名はリヒャルト・ミュールフェルトだ。独学でクラリネットを学んだらしいが、その表現力は素晴らしく、ブラームスはたちまち虜になった。
ブラームスはミュールフェルトを指して「私のナイチンゲール」と呼んだのだ。歌曲最多出場のナイチンゲールの売りは、その美しい鳴き声だ。ミュールフェルトの操るクラリネットがそれにあやかるほどの音色だったということに他ならない。
その考えに同調する人はきっと多かったのだと思う。ヨアヒム四重奏団は、結成以来はじめてクラリネットとの競演に踏み切った。それは、ミュールフェルトを加えて、ブラームスの新作クラリネット五重奏曲を演奏するためだった。
愛鳥週間今日まで
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