方言
特定の地域で話されている言語のうち、公用語・標準語あるいは共通語と異なる言語くらいの意味か。「特定の地域」の定義が難しい。定義の仕方によっては億単位の人々が話しているということもある。話している人本人は「方言」だろうと「公用語」だろうと構わないハズだ。コミュニケーションが成立すればOKなのだ。「おおやけ」「中央」の概念が必ずついてまわる。同じ言語のハズなのにどうも通じにくいと感じたとき「方言だから」と自分を納得させるというのがもっとも一般的な用法だと感じる。
他の欧州列強に比べて統一国家の成立が遅れたドイツだから、地域ごとの微妙な言語の差がより保存されやすかったと思うが、標準ドイツ語は、ルーターの独訳聖書が基礎になっているらしい。
音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻132ページに方言についてのブラームスの薀蓄が披露されている。
自作「森の静けさ」op86-5の24小節目の「all」についての薀蓄だ。「all」は本来「全ての」という意味だが、これが低地ドイツ語では「schon」(既に)の意味で、元々は「gut」(良い)の意味だったとしている。方言はとかく厄介だと付け加えている。
演奏家として各地を回ったブラームスだが、民謡の収集家としても各地の言語に触れた。ライン地方やシュヴァーベン地方の民謡のテキストにも数多く触れたブラームスだから、この驚きには説得力がある。
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