小宇宙
紛れもなく一部分でありながら、全体の構成要素を全て備えている領域を「小宇宙」と呼ぶ場合がある。哲学系で多用される言葉だと思う。一歩進んで全体の構成要素を全て備えるにとどまらず、それらが過不足無くバランスよく含まれるという意味をも包含していよう。
歌曲は最長の作品でも概ね5分で演奏出来る。小節数で100以内だ。一方器楽の代表たるソナタは、最小の作品でも20分を要する。多くの歌曲は、長さではソナタ形式楽章の中の主題提示部程度でしかない。
それでいて音楽としての起承転結が、過不足無く盛り込まれている。器楽であれば展開部でしかお目にかかれないような、決定的な転調がホンの2小節目から出現することもある。全体が短いだけあって、進行上の無駄は命取りになる。冒頭旋律の再帰には、ねんごろな手順が踏まれるのは器楽と一緒だが、けして冗長に陥ることはない。
そして決定的な要素がテキストだ。詩人の感動が文字に盛り込まれている。この心の動きを邪魔してはいけないのだ。作曲技法以前のお約束だ。
今日ばかりは、読者の大半にオチを読まれていると思う。
ベタな結論で恐縮だが、つまり歌曲は小宇宙だ。
« 難解なテキスト | トップページ | 祝20万アクセス »
<魔女見習い様
はい。おかげさまで。よほどのことが無い限りは。
投稿: アルトのパパ | 2009年6月25日 (木) 06時21分
たまにベタな展開もあると楽しいです♪
明日(今日)はベタなタイトルになりそうですねー\(^o^)/
投稿: 魔女見習い | 2009年6月24日 (水) 23時07分