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2009年6月 1日 (月)

Tiefe blau

「tiefe」は英語で言う「deep」だ。「深い」という意味。「blau」は「青」である。日本語には「深緑」という言い回しはあるが、「深青」とは言わない。「濃紺」「群青」あたりなのかもしれない。

ブラームス歌曲のテキストに「blau」は頻繁に出現するが、「tiefe blau」は至宝「野のさびしさ」op86-2にただ一度だ。

一般に修飾語と被修飾語が、文の中で離れて置かれると理解が難しくなるとされている。すぐ隣にあるのが一番判りやすい。この「tiefe blau」が何を修飾するかについて、私は「Raume」(宇宙)だろうという見解を示したが、実はこの2語、テキスト中での距離が離れている。けれども全体の流れを観察する限りそう読みたい。これはドイツ語の知識云々の話ではなく、詩的感性の問題だ。

5月29日の記事「四色問題」でも示した通り、「野のさびしさ」には4つの色名が現れる。その内の2つ「緑の草」「青い空」は1連目に置かれて、詩人アルマースを囲む情景の描写になっている。テキストが「Grillen」(こおろぎ)に触れる時、一瞬の翳りがかすめる他は、どっしりと落ち着いた長調で貫かれる。

一瞬緩んだテンポを間奏が引き締めて、淀みなく2連目。早々に3色目「白い雲」が淡々と現われるが、この後アルマースは自らの魂が、この世を去って果てしない宇宙に渡って行くと歌う。1連目で情景を歌い、この2連目では自らの心情を詠み込むのだ。2連に入ってしばらくの間、音楽は1連と同様のどっしりとした長調で淡々と進む。叙景から叙情への転換点に置かれたのが、本日のお題「tiefe blau」だ。そしてテキストが「tiefe blau」にさしかかったところで、色合いが変わる。より正確に申せば「fe」と「blau」の瞬間に鳥肌モンの転調が起きている。この時、ピアノ伴奏側に置かれた「diminuendo」の効果には、ただただ驚くばかりだ。ここに「diminuendo」を置かねばと思うブラームスの感性までもが鑑賞の対象である。この後4小節間、とりわけ「Traume」のあたりが泣きたいほどの絶景である。

何と言う景色だ。調性の取り扱いという意味でパーフェクトだと思う。

やがて究極の6度の跳躍から音楽は原調のヘ長調を取り戻し、フィニッシュにひた走る。作品の最後に歌われる単語こそが、「tiefe blau」の目的語「Raume」(宇宙)である。

作曲技法だけで書ける音楽ではない。テキストに心から共感するというのは、こういうことだと思わずにはいられない。

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コメント

おおおお。
さては貴方様は、理系でござるな。

イオン化傾向で挫折して以来の衝撃でござる。

>日本語には「深緑」という言い回しはあるが、「深青」とは言わない。
深青色という言い方は、化学の世界ではわりに使います。銅(II)イオンCu2+にアンモニア分子四個が結合した、テトラアンミン銅(II)イオン[Cu(NH3)4]2+(いわゆる銅アンモニアイオン)は、しばしば深青色と表現されています。これに対し、濃青色はベルリン青のような沈殿の色に使われて区別されていました。たぶん、今の高校あたりの教科書でも同様だと思います。一例だけではだめでしょうか(^o^;)/

<Juri様

いらっしゃいませ。
スルー覚悟の記事にコメントがつくと大変嬉しいです。

真相は闇の中ですが、ブラームスはテキストの作詞者に誉められるよりも、末永く愛されることを喜ぶものと愚考いたしております。

確かにこの曲は誰もを感激させるすばらしさがあると思います。ただ、言い伝えによると肝心の元の作詞者(詩人)がこの曲を聴いて不満を漏らしたとのことですが、なぜだったんだろうか?と思ってしまいます。やはりブラームスの歌曲はまず最初にブラームスの個性的な音楽(フォルム?)があって文学者とは接近法が違うのだろうか?

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