偶然が2つ
リヒャルト・ワーグナーのオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」がミュンヘンで初演されたのは1868年6月21日だった。ブラームスの「ドイツレクイエム」は、2ヶ月と11日前の4月10日にブレーメンで初演されたばかりだった。既にそれ以前に「さまよえるオランダ人」「ローエングリン」「タンホイザー」「トリスタンとイゾルデ」を発表していたワーグナーは、マイスタージンガーによりさらにその位置付けを磐石にした。一方のブラームスはこれが、出世作だった。
そのワーグナー楽劇の集大成「ニーベルングの指環」は1876年8月13日14日および16日17日にバイロイトで全曲初演にこぎつけた。ここから2ヶ月と17日後の11月4日、今度はブラームスの第1交響曲がカールスルーエで初演される。
両者を代表する大作が、時を経ぬタイミングで初演されている。
こうした偶然が、大いに論争を盛り上げたのだと思う。
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