妙な辻褄
8月8日の記事「完璧なドンジョヴァンニ」で、ブラームスがマーラー指揮のドンジョヴァンニを絶賛したことを書いた。「完璧なドンジョヴンニを聴きたければハンガリーの首都へ行け」とは、大した惚れ込みようだ。これが1890年のことだ。
そのつもりで8月11日の記事「ヤーン」を眺める。そこにはウィーン宮廷歌劇場の「ドンジョヴァンニ」がひどい出来だったと嘆くブラームスがいる。これは1887年である。宮廷歌劇場指揮者、ヴィルヘルム・ヤーンの任期末をおそった停滞の話の裏付けと位置づけた。
先のマーラー指揮のドンジョヴァンニへの絶賛は、3年前に聴かされたウィーン宮廷歌劇場のひどい演奏を踏まえていたと解したい。
イシュルにブラームスを訪ねたマーラーは、ウィーン宮廷歌劇場指揮者就任への協力を要請し、ブラームスは協力を約束する。マーラーは1897年4月宮廷歌劇場指揮者に就任する。そのときのマーラーの前任者が1887年にブラームスを嘆かせたヤーンである。
ブダペストのマーラー絶賛は、地元ウィーンへの叱咤だった可能性がある。
妙に辻褄があっている。
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