ヘンゼルとグレーテル
1893年に初演されたフンパーディンクのオペラだ。
初演以降評判になったと見えて、ブラームスと友人のホイベルガーの会話にもしばしば現われる。「垢抜けている」とも評価するが「洗練のされ過ぎ」とも言っている。作曲者フンパーディンクを「物静かで控え目で、技術的にも堅実」としならも、本作以上の成功は望めまいと断じている。オペラの題材に童話を使ったアイデアの勝利と見ていたようだ。
このオペラの登場人物の中に「眠りの精」がいる。ソプラノで歌われる役だ。第2幕ヘンゼルとグレーテルの兄妹が道に迷ってしまった森の中。あたりが暗くなっておびえているところで森の奥から現われるのが眠りの精だ。袋から砂を出して二人に振りかける。兄妹は急にまぶたが重くなって眠りに落ちる。これで第2幕が終わる。
さてフンパーディンクは、第3幕の冒頭を朝の情景で始める。露の精が現われて、眠っている兄妹に露を振りかけで目覚めさせるのだ。
- 眠りの精 夜子供を眠らせる。道具:砂
- 露の精 朝子供を起こす。道具:露 子供たちの目に残った砂を洗い流すに決まっている。
眠りの精と露の精は上記のように業務分担をしているらしい。
このうちの一人眠りの精のこうした役回りは、ブラームスにもある。「子供のための14のドイツ民謡」の4番だ。「Sandmannchen」である。直訳すると砂男でソプラノでは無理があるが、子供たちの目に砂を撒いて行くというキャラは眠りの精そのものである。
<魔女見習い様
眠くなると何となく目がゴロゴロすることや、朝は水で顔を洗うと目が覚めるという実体験とも呼応していると思われます。
歯磨きでもあれば完璧ですね。
投稿: アルトのパパ | 2009年8月28日 (金) 06時24分
子供たちの目に砂を撒いて眠らせること。
ブラームスが曲をつけたお話にも出てくるくらいですから、
ヨーロッパではごく普通に通じるお話のようですね。
(すみません...無知でして・・。(;´▽`A``)
露で目覚めさせるのには納得です。
砂と露ですか。
投稿: 魔女見習い | 2009年8月28日 (金) 00時56分
<魔女見習い様
露にもご注目願います。
投稿: アルトのパパ | 2009年8月27日 (木) 18時09分
砂の役割に、思わず目がいってしまいました。
投稿: 魔女見習い | 2009年8月27日 (木) 07時17分