完璧なドンジョヴァンニ
1890年12月、ハンガリーはブダペストの王立歌劇場でモーツアルトの歌劇「ドンジョヴァンニ」を聴いたブラームスは、その出来映えを絶賛する。モーツアルトの3大オペラの一つだから、このときまでに何度も聴いたことがあるはずのブラームスが手放しで称賛した。
「完璧なドンジョヴァンニを聴きたければハンガリーの首都へ行け」と周囲に漏らしたという。「オレも何度か聴いたが今までのは完璧じゃなかった」ということだ。
このとき指揮をしていたのがグスタフ・マーラーその人だった。ブダペスト王立歌劇場の正指揮者として3度目のシーズンを迎えたところ。就任以降演奏の水準を引き上げたばかりか、歌劇場の経営改善にも貢献したという。ブラームスが指揮者マーラーに抱いた好印象は後にウィーン国立歌劇場指揮者就任の伏線になる。
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