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2009年8月 2日 (日)

タイトルロール

オペラの題名に一致する役のことだ。ほぼ主役と思っていい。歌手にとってタイトルロールを歌うということは、主役を張るということで、名誉なことと受け止められている。

こういう言葉が出来ること自体が、ある事実を仄めかしている。オペラのタイトルは、通称まで含めれば人名が多いのだ。先頃言及した「オペラ名作127」のうちタイトルが人名で、作中に同名の役が存在する作品を拾ってみた。「フィガロの結婚」や「ポッペアの戴冠」など人名含みのタイトルも対象にした他、「トリスタンとイゾルデ」等人名2つを含むタイトルも2名それぞれをカウントした。初演の年代順に列挙し、タイトル、作曲者、主役の声種を添える。

  1. 1607年 オルフェオ(モンテヴェルディ)Br
  2. 1642年 ポッペアの戴冠(モンテヴェルディ)Sp
  3. 1689年 ディドとエネアス(パーセル)SpBr
  4. 1762年 オルフェオとエウリディーチェ(グルック)MsSp
  5. 1768年 バスティアンとバスティエンヌ(モーツアルト)TnSp
  6. 1781年 イドメネオ(モーツアルト)Tn
  7. 1786年 フィガロの結婚(モーツアルト)B
  8. 1787年 ドン・ジョヴァンニ(モーツアルト)Br
  9. 1797年 メデア(ケルビーニ)Sp
  10. 1817年 チェネレントラ(ロッシーニ)Ms
  11. 1829年 ウィリアム・テル(ロッシーニ)Br
  12. 1831年 ノルマ(ベルリーニ)Sp
  13. 1835年 ランメンモールのルチア(ドニゼッティ)Sp
  14. 1835年 マリア・ストゥアルダ(ドニゼッティ)Sp
  15. 1839年 アンナ・ボレーナ(ロッシーニ)Sp
  16. 1842年 ナブッコ(ヴェルディ)Br
  17. 1843年 ドン・パスクァーレ(ドニゼッティ)B
  18. 1844年 エルナーニ(ヴェルディ)Tn
  19. 1845年 タンホイザー(ワーグナー)Tn
  20. 1846年 アッティラ(ヴェルディ)B
  21. 1847年 マクベス(ヴェルディ)Br
  22. 1849年 ルイザ・ミラー(ヴェルディ)Br
  23. 1850年 ローエングリン(ワーグナー)Tn
  24. 1851年 リゴレット(ヴェルディ)Br
  25. 1857年 シモン・ボッカネグラ(ヴェルディ)Br
  26. 1859年 ファウスト(グノー)Tn
  27. 1865年 トリスタンとイゾルデ(ワーグナー)TnSp
  28. 1866年 ミニヨン(トマ)Ms
  29. 1868年 メフィストーフェレ(ボーイト)Sp
  30. 1871年 アイーダ(ヴェルディ)Sp
  31. 1871年 ジークフリート(ワーグナー)Tn
  32. 1874年 ボリス・ゴドゥノフ(ムソルグスキー)B
  33. 1875年 カルメン(ビゼー)Ms
  34. 1876年 ドン・カルロ(ヴェルディ)Tn
  35. 1876年 ジョコンダ(ポンキエルリ)Sp
  36. 1877年 サムソンとデリラ(サンサーンス)TnMs
  37. 1879年 エフゲニー・オネーギン(チャイコフスキー)Br
  38. 1881年 ホフマン物語(オッフェンバック)Tn
  39. 1882年 パルジファル(ワーグナー)Tn
  40. 1883年 ラクメ(ドリープ)Sp
  41. 1884年 マノン(マスネー)Sp
  42. 1887年 オテロ(ヴェルディ)Tn
  43. 1890年 イーゴリ公(ボロディン)Br
  44. 1892年 ウエルテル(マスネ)Tn
  45. 1893年 ファルスタッフ(ヴェルディ)Br
  46. 1893年 マノン・レスコー(プッチーニ)Sp
  47. 1893年 ヘンゼルとグレーテル(フンパーディンク)MsSp
  48. 1896年 アンドレア・シェニエ(ジョルダーノ)Tn
  49. 1898年 イリス(マスカーニ)Sp
  50. 1900年 トスカ(プッチーニ)Sp
  51. 1900年 ルイーズ(シャルパンティエ)Sp
  52. 1901年 ルサルカ(ドヴォルザーク)Sp
  53. 1902年 アドリアーナ・ルクブルール(チレア)Sp
  54. 1902年 ペレアスとメリザンド(ドビュッシー)Tn、Sp
  55. 1904年 蝶々夫人(プッチーニ)Sp
  56. 1904年 イヌーファ(ヤナーチェク)Sp
  57. 1905年 サロメ(R・シュトラウス)Sp
  58. 1909年 エレクトラ(Rシュトラウス)Sp
  59. 1912年 ナクソス島のアリアドネ(Rシュトラウス)Sp
  60. 1918年 修道女アンジェリカ(プッチーニ)Sp
  61. 1918年 ジャンニ・スキッキ(プッチーニ)Sp
  62. 1925年 ヴォツェック(ベルク)Br
  63. 1926年 トゥーランドット(プッチーニ)Sp
  64. 1932年 アラベラ(Rシュトラウス)Sp
  65. 1935年 ボギーとベス(ガーシュイン)BrSp
  66. 1937年 ルル(ベルク)Sp
  67. 1945年 ピーター・グライムズ(ブリテン)Tn

ご覧の通り127作品のうち67の作品がタイトルに人名を含む。何と50%を超えている。

上記をさらに声種別にカウントすると以下の通りになる。

  • ソプラノ 34
  • テノール 16
  • バリトン 15
  • メゾソプラノ 6
  • バス     4

ソプラノ、テノール、バリトンの順だ。つまりこれらの声種がオペラで主役を張りやすいのだ。これをブラームスの歌曲をCDで歌ってくれている人のデータと比較すると興味深い。

ソプラノの優位は共通するのだが、メゾソプラノの位置づけは対照的だ。オペラでメゾソプラノが主役を張ることは希だが、ブラームス歌曲における位置づけは最重要と申して良い。次いでテノール。オペラでは男声最強の扱いだが、ブラームスの歌曲ではほぼ全滅だ。そしてアルトに至っては名作オペラのタイトルロールになっていない一方で、ブラームスがアルトに特別な位置づけを与えていたことは良く知られているところだ。

歌曲における「メゾソプラノやアルトの優越」と「テノールの冷遇」がブラームスの音楽性に起因するものだとすれば、ブラームスがオペラを書かなかった有力な説明根拠になると感じる。無論、ブラームスは自作の歌曲について「テノールが歌ってはいけない」とは言っていないが、結果としてブラームスの歌曲を録音するテノールは少ないのだ。

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