ロ短調組曲の断片
始めにお断りする。本日の記事はお叱り覚悟である。お叱り覚悟の記事を書くために、今日までに以下の通り周到に記事を配置してきた。
- 2009年4月2日「ダブルブッキング」
- 2009年9月2日「イ短調クラヴィーア組曲」
- 2009年9月5日「曲を贈る」
上記2番と5番の記事は、「オペラ月間」と「ドヴォルザーク」の幕間に公開した。幕間のロビーでピアノ曲がかすかに流れている感じだ。そのうちの2番の記事「イ短調クラヴィーア組曲」の中でロ短調のジークとサラバンドの存在に触れた。クララ自身が証言していることもあって、現存しないプレリュードとアリアを含めたイ短調組曲の存在を想定出来る。しかしロ短調のサラバンドとジークを含む組曲の存在は確認出来ない。記事の最後でこの点を謎として提起した。
1番の記事では「クララがブラームスに3つのロマンスop22を献呈している」と書いた。このうちの1番イ短調は単独で夫ロベルトに献じられていることにも言及し、この事実をダブルブッキングと称し違和感を表明したつもりである。一方でロ短調のロマンスの存在にも触れた。こちらはブラームスのピアノソナタ第3番の緩徐楽章の旋律がトレースされているなど、明らかにブラームスを意識しているが誰にも献じられていない。イ短調とロ短調のロマンスが出版や献呈の手続きの過程でコンタミを起こした可能性を指摘した。
ここまでは前置きだ。ここからが暴走の本番だ。
所在無さ気に残されたロ短調のサラバンドとジークは、クララがブラームスに献じたロ短調のロマンスへの答礼である可能性を考えている。作曲の素養ある2人が折に触れて作品を贈り合ったことは自然でさえある。イ短調クラヴィーア組曲と対を為す、ロ短調組曲が存在したと考えたい。クララがブラームスに贈ったロ短調のロマンスをプレリュードまたはアリアと位置づけたロ短調組曲をブラームスが補筆完成したと解したい。
ロ短調のサラバンドとジークは、その組曲の断片ではないだろうか。
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