生涯収入
10月20日の記事「作品の価格表」および22日の記事「報酬の相場」で、ブラームス作品に対して出版社から支払った原稿料をまとめた。それらを合計するとどうなるのかが、本日の話題だ。
ブラームス作品の価格相場が確立して以降、1897年に没するまで、ブラームスが作品の原稿料として受け取ったお金の合計を計算してみた。
マッコークルに記載の無い作品については、同等同規模の作品の金額を仮に充当して計算した。範囲は作品番号のある作品としたが、ハンガリア舞曲第3集と4集、および「49のドイツ民謡」を敢えて加えた。また第4交響曲とヴァイオリンとチェロのための協奏曲は不明だが、第3交響曲で他の出版社に危うく出し抜かれるというエピソードを考慮して、特別に上乗せがあったとして計算した。
計算の結果は1億3392万5千円となった。
作曲の報酬でこの金額とはさすがだ。22年間ということを考えると1年平均6百万円強だ。これに作品番号の無い作品が少々加わったとして1億5千万円が視界に入る。相場確立以前の作品群を加えても、この年間平均値が大きく変わるとは思えない。つまり下級労働者の年収の約12倍だ。
ピアノでも作曲でも弟子は多くないけれど、指揮やピアノの演奏に対するギャラはあったに決まっているし、他の作曲家の作品の校訂からも収入があっただろう。いくつかの名誉職に就いていたからそれにまつわる収入も別途見込める。
楽譜の刊行にからんで印税収入が発生していたのか気になる。
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