婿殿の証言
ヨゼフ・スークはプラハ音楽院における作曲の弟子だ。ドヴォルザークの娘オティーリエと結婚したから、娘婿でもある。ヴァイオリニスト、ヨゼフ・スークの祖父にあたる。
彼は、岳父でもある師匠ドヴォルザークの知識を証言している。以下の通りだ。
- バッハ、ヘンデル、グルック、モーツアルト、ベートーヴェン、シューベルト、ベルリオーズ、ヴァーグナー、リストといった巨匠の作品を全て知り尽くしていた。
- ブルックナーとリヒャルト・シュトラウスにも興味を持った。
- イタリア音楽を軽視していない。
思うに上記1は先輩作曲家だ。そして上記2は同時代の作曲家であるように見える。
上記3で「イタリア音楽を軽視していない」と証言しているのは興味深い。当時、彼の周囲にそういう風潮があったことを前提に「ドヴォルザークはそうではなかった」という意図を感じるからだ。
さてさて、最大の疑問は既にお察しいただいていると思う。とりあえず昨日の話と辻褄だけは妙にあっている。何故ブラームスが出てこないのだろう。関係が濃すぎてこのレベルではないからだと一応善意に解釈をしておくが、落ち着かない。同時代を生きた2人だから上記1には入らぬと思う。上記2には戦慄を覚える。ブルックナーやリヒャルト・シュトラウスに興味があって、ブラームスを無視ということは、ふつーあり得ぬ。
何故だろう。ドヴォルザークの修行時代、ブラームスが教材に選ばれていないことは、昨日推定した。だから上記1にブラームスが入らぬことは無理からぬ話としても、上記2に出現する2人は、ブラームスと同世代以降だ。ドヴォルザークがブラームスと十分な親交を結んだ後の話だ。
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