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2009年10月22日 (木)

報酬の相場

このタイトルで「ゴルゴ13」を思い浮かべた人はコミックの読み過ぎである。10月20日の記事「作品の価格表」の続編とお考えいただいていい。ブラームスの諸作品に対して支払われた報酬を、マッコークルを頼りに一覧表にしたものだった。

単に作曲年代順に並べておくだけでは能が無い。そこから浮かび上がる傾向を整理する。

  1. 交響曲=750万円、協奏曲=450万円、管弦楽曲=225万円、室内楽=150万円、ピアノ小品=40万円前後、歌曲=22万5千円という相場がおそらく1875年以降形成されていたと考えられる。
  2. この時期以前の曲は、値上がりの途上にある。ブラームスの出世作であり規模の面でも最大の作品であるドイツレクイエムの値段864,000円がそのことを雄弁に物語る。交響曲の約8分の1だ。
  3. 弦楽四重奏曲1番と2番、あるいはハイドンの主題による変奏曲もまだ相場確立前の価格である。
  4. 相場確立の年と目されるのが1875年というのが面白い。この年にブラームスはウィーン楽友協会の芸術監督を辞している。これ以降終生定職に就くことは無かった。つまりここから作曲だけで飯を食ったのだ。この決意と作品相場の確立が同時というのは何やら意味ありげだ。
  5. ハンガリア舞曲は音楽的な価値とは別に、売り上げ獲得という面で出版社にとっては特別の意味があったと思う。相場確立後の第2集で1曲約30万円が払われている。1894年の「49のドイツ民謡集」も同等の位置づけだ。49曲の集合体とはいえ、あろうことか750万円が払われている。交響曲1曲と同等の評価だ。それでも1曲約15万円で歌曲よりは安い。
  6. 1890年のピアノ三重奏曲第1番の改訂にあたり支払われたのは75万円だ。通常の室内楽相場の半額である。新作でない点が考慮されたと思われる。

相場が確立したのは1875年つまりブラームス42歳だから、この後22年間終生この相場が維持された。22年値上げをしなくてもブラームスが納得するような破格値だったと考えたい。この相場は単に巨匠ブラームスのご機嫌取りである訳もない。出版社にとってはコストだから、売り上げにより回収不可能な金額が設定されるハズがないのだ。ブラームス作品の市場での吸収力を見据えたロジカルな公式によって整然とはじき出された金額だと思われる。

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