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2009年11月14日 (土)

声部を足す

モラヴィア二重唱のCDの解説に興味深い記述があった。

モラヴィア二重唱は声部を足すことで成り立っているというのだ。ドヴォルザークの眼前には単旋律のモラヴィア民謡があって、ドヴォルザークはそれに第2の声部を加えることで二重唱化を試みたと言っている。最終的には、そうした手法だけにとどまらず大きく創作の手を加えたとされている。

本当だろうか。一方でモラヴィア民謡の風合いを尊重しながらも、旋律はオリジナルという指摘もある。

バッハのエピソードを思い出す。バッハは多声部の作品を与えられると、アドリブでもう1声部を加えた即興演奏が得意だったらしい。与えられた作品の対位法的構造を即座に読み取り、それに準拠した上で架空の声部をたちどころに付加出来たのだ。

当代最高の対位法の泰斗ブラームスは、同時に最先端のバッハ研究家でもあったから、当然そのことを知っていた。

だから既存の旋律に声部を足すというコンセプトはおそらくブラームスを驚喜させたと思われる。

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