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2009年11月15日 (日)

役者が違う

一昨日の記事「出来高払い」で、ドヴォルザークのモラヴィア二重唱の出版にあたり、出版社ジムロックからドヴォルザークに宛てた手紙に言及した。ブラームスの絶賛があったとはいえ、ジムロックは慎重で、原稿料の支払いを先延ばしにした。無論ドヴォルザークに異論を挟む余地などない。

出版されたモラヴィア二重唱の評判は上々だ。先の手紙に従うなら、そこそこの原稿料が支払われても不思議ではない。ところが事実はそうなっていない。ジムロックはそこでドヴォルザークに巧妙な提案をする。

モラヴィア二重唱曲の原稿を支払わない代わりに、ブラームスのハンガリア舞曲と同じコンセプトで「スラブ舞曲」の作曲を依頼するのだ。この場合作曲の依頼とは、「出版の約束」と同義である。ドヴォルザークは、尊敬するブラームスの名前を出されて恐縮したのか、この提案に同意する。ベルリンの大出版社の目にとまった喜びで我を忘れたというのが真相だろう。

このように出版された「スラブ舞曲」は空前の大当たりとなる。作曲者ドヴォルザークの名前は欧州中にとどろくことになる。今度はさすがに原稿料が支払われた。スラブ舞曲第1集8曲で300マルクである。ブラームスのピアノ小品1曲に800マルクを支払うジムロックにすれば、安い買い物なのだ。スラブ舞曲の単価はおよそ38マルクとなるから、ブラームスのピアノ小品の20分の1以下だ。そしてさらにもっと残酷なのは、スラブ舞曲はピアノ連弾版と管弦楽版セットの買取価格になっている。交響曲第8番がブラームス第1交響曲の15分の1だと騒いで見せたが、こちらはその上を行く。

売り上げだけは空前の売り上げで、支払いはブラームスのピアノ小品1曲の半分以下だ。早い話が商売上手だ。安く仕入れて高く売る。あるいは多く売るのだ。何せ版元のジムロックの予想を遙かに超える売り上げだったという。

モラヴィア二重唱の原稿料を踏み倒した上、ヒット作となるスラブ舞曲のタネを蒔き、ドヴォルザークを世に出すアシストをし、その後の優先出版権まで認めさせるのだから、大したものだ。何だか役者が違う感じがする。

この過酷な仕打ちをブラームスは察知していたのだろうか。

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コメント

<魔女見習い様

はい。同時代の作曲家の作品が、どこの出版社から刊行されていたか、興味深いところです。

ジムロックのブラームスとドヴォルザークに対する姿勢が、あまりにも違います。
もう一人、ジムロックと関わっていた作曲家についても知りたくなりました。

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