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2009年11月 5日 (木)

報酬の送金先

作品の原稿料として出版社からブラームスに支払われる報酬は、ブラームスの口座に振り込まれたと見るのが自然だ。ジムロックはブラームスの友人にして大出版社の経営者だ。さらにはブラームスの信任厚き財産管理人でもある。だからジムロックはブラームスに作品の報酬を支払うとは言っても、原則として自分が管理するブラームスの口座に送金するだけだった。

ところがだ。「雨の歌」の通称で名高いヴァイオリンソナタ第1番ト長調op78は例外だった。3000マルク(約150万円)という金額はいつもの通りだったが、その振込先をブラームスから特に指示されたのだ。その送金先を見て驚いた。

シューマン基金だ。そんな例は他に無い。

シューマン基金への寄付は、事実上クララへの送金と見てよい。ヴァイオリンソナタ第1番の報酬全額をそっくりクララに贈ったようなものだ。

ヴァイオリンソナタ第1番の引用元歌曲「雨の歌」op59-3にテキストを供給したクラウス・グロートをブラームスに紹介したのはクララだった。あるいは2008年2月16日の記事「天国に持って行きたい」を思い出して欲しい。

この珠玉のソナタはフェリクスの想い出が詰まった曲だ。天国のフェリクスに聴かせたいとクララが願った曲だ。おそらくブラームスはその願いに答えたのだ。作品をクララに献呈するという形式を取らずに、それでいてクララへの贈り物であることを記憶する方法を考えたに違いない。何故ならこのソナタはリーズルことエリザベート・フォン・ヘルツォーゲンベルクから献呈をねだられたのに対し、別の曲「2つのラプソディ」op79を献呈してごまかしている。だからこのソナタを大っぴらにクララに献呈しては、今度はリーズルの機嫌を損ないかねない。

表面上このト長調ソナタは誰にも献呈されていないが、報酬全額をシューマン基金に寄付することでけじめをつけたと見た。このソナタが断固クララ母子への贈り物であることを、リーズルに秘匿しつつ表明したようなものだ。

フェリクスの名付け親でもあったブラームスのけじめ。

最近こういうのをカッコいいと感じるようになった。歳だろうか。

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コメント

<ひふみ様

おおお。それはそれは羨ましい。

「素人の感想」とはご謙遜。きっとその通りの演奏だったのでしょう。

先日、この「雨の歌」をチェロの演奏で聴きました。
その後に、本物のチェロソナタも2曲弾いてくれましたが、
何だかこの日の演奏は「雨の歌」が一番良かったように感じました。
名手過ぎて、本物では遊びが多すぎたのかも知れません。
な~んて素人の勝手な印象なんでしょうね(笑)。

<魔女見習い様

でしょでしょ。

そんなことより掛け軸をささやかな予告編に使ってみましたが、早速の反応は嬉しい限りです。

最近の記事の流れの中で「フェリクスのソナタ」とは、
何が出てくるのかと昨日から楽しみにしていました。
すごく素敵なお話。
ブラームスが、ますますカッコよく見えます。

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