平均律ドボヴィーア曲集
長短24全ての調でブラームスのピアノ曲集を作る企画「平均律ブラヴィーア曲集」を公開したばかりだ。現在ドヴォルザーク特集の真っ只中であるから、当然ドヴォルザークのピアノ曲で同じ事がしたくなった。ブログ「ブラームスの辞書」からドヴォルザークへのクリスマスプレゼントだ。
- ハ長調 詩的音画より「セレナーデ」op85-9 ほんわりとどこまでも良心的で暖かい佳曲。本曲集の幕開けにふさわしい。4分の4拍子で始まった音楽が、どこまでもさりげなく8分の6拍子に転換する。注意して聴いていないと気付かぬくらい自然だ。
- ハ短調 詩的音画より「バッカナール」op85-10 ドヴォルザーク最高のスケルツォ。主題再帰のさせかたが半端ねぇ感じ。
- 変ニ長調 詩的音画より「スヴァターホラ」op85-13 詩的音画のフィナーレを飾る絶唱。27小節目からのピアニシモAs音の連打が心に沁みる。
- 嬰ハ短調 組曲イ長調より第2曲op98-2 組曲イ長調の2曲目「Molt Allegro」だ。
- ニ長調 牧歌 2番op56-2 意外とニ長調は層が薄い。シンコペーションを前面に押し出しながらも優雅さを忘れないのはバッハのホ長調インヴェンションを思い出す。
- ニ短調 スコットランド舞曲 op41 キビッキビの4分の2拍子。
- 変ホ長調 ワルツ op54-8 ドヴォルザークワルツの最高峰。快速痛快に吹き抜ける一陣の風。
- 変ホ短調 詩的音画より「古い城にて」op85-3 詩的音画全13曲から何か1曲と言われれば、迷った挙句にこれを採るだろう。ひんやりとした空気の描写は秀逸。調号はフラット3個。
- ホ長調 牧歌 4番op56-4 中間部の左手に「アメリカ四重奏曲」第1楽章冒頭の旋律が短調で出現する宝物。
- ホ短調 影絵より 10番 op8-10 長調と短調の中間をさまようかんじだ。ややブラームスっぽい。インテルメッツォop119-2に近い感じ。
- ヘ長調 牧歌 1番op56-1 挨拶をかかさぬ律儀なドヴォルザークそのままという印象。
- ヘ短調 なし ピアノ連弾にも存在しない完全な空白。全24曲のキッカリどまん中が空白なのは、ハーフタイムのようで気が利いている。
- 嬰ヘ長調 フモレスケ B-138 クライスラーのヴァイオリン編曲で名高い変ト長調のフモレスケを僅差で抑えての採用。全24曲の後半立ち上げの作品としてまさにうってつけの可憐さ。思いついたモン勝ちの旋律。
- 嬰へ短調 影絵より4番 op8-4 粗野で骨太。繊細なブラームスの嬰ヘ短調とは異質だ。
- ト長調 子守唄 B188-1 子守唄というタイトルだがピアノ独奏曲だ。素朴にして優雅な子守唄。中間部の盛り上がりは子守唄としては異例だがそれもご愛嬌。知名度低くていい私だけの子守唄。
- ト短調 エクローグ op52-4 ドヴォルザークの残した最高のエクローグだ。即興曲op52-1やカプリチオB188-2を僅差で抑えての採用。
- 変イ長調 詩的音画より「妖精の踊り」op85-8 高音を意図的に用いた効果が圧倒的だ。ブラームスのop76-2を彷彿とさせる。キリリと軽やかな一陣の風。
- 変イ短調 詩的音画より「フリアント」op85-7 オタクな調性、シャープな半音進行、キレキレのリズム。
- イ長調 詩的音画より「春の歌」op85-4 喜びの表現としてハ長調のセレナーデと双璧をなす。絶えず流れ続ける風としての32分音符が洒脱。涙目で微笑む感じ。
- イ短調 ワルツop54-2 ドヴォルザーク版「ドナウ川のさざなみ」。トリオは3拍子1小節を8つに割る快感だ。
- 変ロ長調 マズルカ op56-3 長調で立ち上がるには立ち上がるが、それも申し訳程度で、すぐに中島みゆき顔負けの短調に移行する。
- 変ロ短調 フモレスケ op101-8 超名高い7番変ト長調の影に隠れた佳品。
- ロ長調 詩的音画より「夜の道」op85-1 記譜上の調号はシャープ2個のロ短調だが、実際にはロ長調が鳴る。
- ロ短調 影絵より7番 op8-8 「影絵」の中では一番特徴的。ブラームスのop76-2と精神的につながっている気がする。調と作曲年が一致する他、冒頭の発想記号も近似する。とは言えさらに18年は遡るドヴォルザーク初の交響曲「ズロニツェの鐘」の第3楽章の冒頭主題にも似ている。
<ひふみ様
おぉお。これはこれはご丁寧にありがとうございます。
どうぞ良いお年をお迎えください。
投稿: アルトのパパ | 2009年12月25日 (金) 21時44分
明日から帰省しますので、しばらくお訪ね出来ません。
来年も宜しくお願い致します。
投稿: ひふみ | 2009年12月25日 (金) 21時35分