優先出版権
モラヴィア二重唱曲やスラブ舞曲第1集が、ジムロック社にもたらした利益は莫大なものであった。調子に乗ったジムロックは巧妙なことに優先出版権をドヴォルザークに認めさせてしまった。つまりスラブ舞曲op46以降の作品について、他社に対して優越する地位を得たことになる。つまり事実上ブラームスとドヴォルザークの作品について、優先出版権を持っていたことに他ならない。
つくづく商売上手だと思う。
スラブ舞曲の大ヒットをキッカケに、ドヴォルザークの名声は欧州中に轟き渡ったから、他の出版社からも作曲依頼が殺到した。けれども書き上げた作品は、ジムロックが出版を拒否しない限り他社が刊行出来ないということだ。
それでは他社は泣き寝入りしたかと申せば、そうでもない。新作にop46より低い数字の作品番号をつけて平然と出版する猛者が少なくなかった。ブラームスの場合と違ってジムロックとドヴォルザークは蜜月ではなかったから、抜け道はいくらもあったのだ。
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