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2009年12月19日 (土)

詩的な音画

ドヴォルザークの作品解説の中で、ブラームスとの関係が取り沙汰されている作品を選んで聴いている。そうした作品がドヴォルザークの作品群にあっては、あまりメジャーではないとも述べた。

その中でお宝を発見した。

ピアノ独奏曲「詩的な音画」B161である。13の標題付き小品で構成される。このうちの1番「夜の道」について「ブラームスの影響は必至」という解説があったのでどれどれと聴いてみた。確かに後期小品の中のインテルメッツォに通ずる雰囲気を感じた。

しかし、感じたといっても「そういわれて見れば」の域を出ない。この曲集は既知の大家の作風に似ている云々と説明されるよりは、ドヴォルザークの個性が溢れているという観点から掘り下げて然るべきと感じる。

その他の12の作品も皆個性的で楽しめるなどと思いながら、作曲年を見てぎょっとした。1889年だ。「うそ」ってなもんだ。ブラームスの後期のピアノ小品は1892年以降の作曲だから、ドヴォルザークの「詩的な音画」の方が早いのだ。私が勝手に後期のインテルメッツォの雰囲気を感じたが、「伝播の向き」はむしろ逆だ。

大作曲家間の影響ネタは愛好家にとっては楽しい話題だが、気をつけねばばらない。解説書にはしきりに取り上げられるネタだが、鵜呑みは味わいを損なう原因にもなり得る。既存の音楽家の影響を指摘して、論評の文字数を稼ぐ効果もあろうが、本作に限っては大きなお世話だ。

ブラームスがいなかったらきっと一生聴くこともなかったお宝である。

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