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2009年12月13日 (日)

顔が広い

いたる所に頼めば動いてくれる知り合いがいること。「いたる所」とは、単純に地理的な意味に加えて「様々な業界に」というニュアンスも含んでいる。

12月10日の記事「ブラームスのジムロック評」の中で、ジムロックの長所として「顔の広さ」を挙げた。それを伺わせる情報が思わぬところに見つかった。

交響曲第1番の初版の表紙だ。作品のタイトルと作曲者が書かれているのは当然だ。さらに出版社・ジムロックの名前が、本拠地ベルリンとともに大書されている。

その下にやや小さい文字でロンドン、ニューヨーク、ザンクトペテルブルクに所在する会社名が記されている。商売敵の名前を書くはずが無い。ジムロック社製品としての楽譜をそれら諸都市で扱う代理店名が記されていると解したい。このうちニューヨークの企業は「G.Schirmer」と記されている。音楽之友社刊行・日本ブラームス協会編「ブラームスの実像」の31ページに出てくる。第1交響曲のアメリカ初演を巡るニューヨークフィルとニューヨーク交響楽協会のせめぎあいのエピソードだ。レオポルド・ダムロッシュが第1交響曲の総譜を求めてニューヨークのグスタフ・シャーマーを訪ねたと書かれている。まさにジムロックの代理店という機能だ。その他の都市も同様だと解さざるを得ない。

さらにその下、バーゼル、チューリヒ、ルツェルン、ザンクトガレン、ストラスブルクの都市名が表示され、その地に関係会社の存在を伺わせる。

最下段にはさらに一段と小さな文字で、ライプチヒの会社の名前が記されている。これは販売関係の企業ではなく、石版印刷を引き受けた会社の名前だ。印刷の業務委託先、つまり下請けだ。

こうした販売網と下請けの存在を評して「顔が広い」と表現したと解される。

楽譜の表紙に「顔の広さ」をさり気なくかつ明確に表示するのは有効な手段だと思うが、不思議なこともある。ジムロック刊行の楽譜で、表紙にこの手の「販売網の誇示」が印刷されるのは、交響曲第1番から「バラードとロマンス」までだ。作品番号で言うとop68からop75までの狭い範囲に限られる。

何故販売網の誇示をやめたのだろう。自前の販売網が出来上がったから、代理店が不要になったか、あるいは、そんなことをしなくても販売網が知れ渡ったからかもしれない。

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