quasi stringendo
ドヴォルザークが1880年に作曲したピアノ小品集op52の中、第2番にインテルメッツォがある。破棄や散逸の憂き目に遭わずに、現代に伝えられたドヴォルザーク作品の中で、「インテルメッツォ」とタイトリングされているのは、唯一これだけだ。
ゆったりと突き詰めないテンポ、頻繁に小節線をまたぐスラーなど、私のようなブラームス大好き人間から見ると興味津々だ。ブラームス中期のop76よりは少々遅いが、晩年の小品群よりも10年以上遡る時期の作品だ。
その中に「quasi stringendo」という指定が現れる。「stringendo」を修飾する「quasi」は、ブラームスには例がない。ここだけの話ドヴォルザークの「quasi」の用法については、ブラームスより多彩だ。
「ほとんどストリンジェンドで」という解釈では、疑問が残る。ドヴォルザークの遺したインテルメッツォがこの曲だけというのも厄介だ。他のインテルメッツォでの用例と比較することも出来ない。
根拠の無い直感で恐縮だが、ブラームスの至宝インテルメッツォイ長調op118-2の38小節目と106小節目に出現する「crescendo poco animato」に近いニュアンスだと思う。
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