ポコは少しか
何かにつけて「少し」が好きなブラームスについては既に2006年2月15日の記事「Poco意訳委員会」で話題にした。発想用語が極端に受け取られないよういつも注意深く身構えていたのがブラームスだと思う。一見しただけでは速いのか遅いのか判らないようなニュアンスを「微調整語」を駆使してコネ回すのがブラームス流だ。アンチからは叩かれることもあろう。
ドボダスはカバー率4割の段階だが、「poco」の出現についても興味深い傾向を指し示している。「Adagio」「Andante」「Allegretto」「Allegro」を「Poco」が先導するケースが多い。このパターンは難解だ。「Poco adagio」が「Adagio」より速いのか遅いのか即断が難しい。それでもまだ「Poco adagio」と「Poco allegro」については手掛かりがあるけれど「Poco Andante」や「Poco Allegretto」ともなるとお手上げに近い。
- Poco adagio 7回 ブラームスは9回
- Poco andante 7回 ブラームスは8回
- Poco allegretto 2回 ブラームスは6回
- Poco allegro 7回 ブラームスは3回
- Poco lento 4回 ブラームスは2回
- Poco animato 1回 ブラームスは5回
- Poco meno mosso 8回 ブラームスは無し
- Poco piu mosso 3回 ブラームスは4回
- Poco tranquillo 4回 ブラームスは3回
さらに昨日話題にした「quasi」との関連も悩ましい。たとえば「Quasi Andante」と「Poco Andante」の違いなど微妙過ぎる。
カバー率4割の段階でゆめゆめ断言は危険だが、ドヴォルザークもブラームスと同等かそれ以上の「微調整語」のユーザーだった気がする。
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