舞曲メーカー
ドヴォルザークはスラブ舞曲第1集が事実上の楽壇デビュー作となった。ピアノ連弾版と管弦楽版ともに売れに売れたという。作曲者本人が全部を管弦楽版にしていないハンガリア舞曲よりもサービス精神が旺盛だ。第1集8曲に次いで第2集8曲もベストセラーになった。
ドイツ・オーストリア系の作品に慣れた耳には新鮮な舞曲の集合だ。バッハの組曲を形成する古典舞曲とも違う民衆に密着したキビキビとした舞曲はドヴォルザークの魅力の一つだ。
ipodでいたずらをしている。交響曲の第3楽章に位置する舞曲だけを集めて聴いている。交響曲第3番だけが舞曲楽章を欠く3楽章制になっているから、全部で8曲の舞曲集になる。全ての舞曲が交響曲の第3楽章になっていて緩徐楽章との位置の交代は起きていない。1番から通して聴くと気持ちが良い。いわば「スラブ舞曲第3集」だ。
ベートーヴェンでも第9交響曲で第2楽章になっているのを我慢すればスケルツォ集になる。ところがブラームスでこれをやっても舞曲集にはならない。第4番だけが何とかスケルツォ風になっているだけだ。むしろ「管弦楽のためのインテルメッツォ」に近いニュアンスだ。
ブラームスの路線こそが大きな例外なのだと思う。
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