ハンガリア舞曲の編曲
「ハンガリア舞曲」全21曲は楽譜の売り上げという切り口で見た場合のブラームスの出世作だ。元々ピアノ連弾用だ。オーケストラの演奏会のアンコールとして演奏されることも多いのだが、全てをブラームス自身が管弦楽に編曲している訳ではない。ブラームス自身による編曲は1番3番10番の3曲にとどまる。残る18曲は別人の手によって管弦楽に編曲されている。
最後の5曲つまり、第4集を編曲したのはドヴォルザークだ。
ドヴォルザークは、ハンガリア舞曲のヒットで味をしめた出版社ジムロックの勧めで「スラブ舞曲」を書いた。思惑通り空前の当たりとなってドヴォルザークの名は欧州中にとどろいた。ハンガリア舞曲同様ピアノ連弾用だったが、全曲本人の手によって管弦楽版に編曲されている。つまりピアノ連弾舞曲の管弦楽化はお手の物なのだ。
- スラブ舞曲第1集1878年出版
- ハンガリア舞曲第4集ピアノ連弾版1880年出版
- ハンガリア舞曲第4集管弦楽版1881年出版(ドヴォルザーク編曲B602)
- スラブ舞曲第2集1886年出版
大ブレークした「スラブ舞曲」の作曲者が、これまたブラームスの表看板「ハンガリア舞曲」の最終巻を管弦楽に編曲したのだから、当時の楽壇へのインパクトは小さいハズがない。話題作りにも特別な才能を示すジムロックだ。
ドヴォルザークのこの編曲はブルクハウザー先生の「ドヴォルザーク作品目録」にも収載され、B602という番号が与えられている。
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