終楽章マーカー
「con fuoco」は「火のように」と解される。情熱的な感じの表現として用いられる。ブラームスにおける用例については2006年6月30日の記事「青春の炎」で言及した。先ごろ完成したドボダスのおかげでドヴォルザークについても用語使用の分布がおぼろげながら推定できるようになった。
ドヴォルザーク作品における「con fuoco」の用例を以下に列挙する。
- 交響曲第2番変ロ長調B12第4楽章冒頭 Allegro con fuoco
- 弦楽五重奏曲第2番ト長調B49第1楽章冒頭 Allegro con fuoco
- ピアノ協奏曲ト短調B63第3楽章冒頭 Allegro con fuoco
- フリアントニ長調B85-1冒頭 Allegro con fuoco
- フリアントニ短調B85-2冒頭 Allegro con fuoco
- ワルツイ短調B101-2冒頭 Allegro con fuoco
- スケルツォカプリチオーソB131冒頭 Allegro con fuoco
- 交響曲第9番ホ短調「新世界より」B178第4楽章冒頭 Allegro con fuoco
- 弦楽四重奏曲第13ト長調B193第4楽章 Allegro con fuoco
ブラームスはトップ系パート系合計で生涯で7回だけだ。カバー率4割のドボダスつまり4割ドボダス状態で9回の使用、しかもそれはトップ系だけだ。さらにブラームスは作品41を最後に出現が途絶えるのに対し、ドボルザークは生涯にわたって満遍なく分布する。また「Allegro」を補完する形に特化して用いられているのも面白い。
さらに興味深いのは多楽章作品で用いられる際にはほぼ最終楽章になることだ。上記2が例外だ。つまりこれが「終楽章マーカー」である。
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