メゾピアノの巣
ダイナミクス記号「mp」(メゾピアノ)は、ブラームスにおいては特異な分布を示す。第1交響曲を皮切りに堰を切ったように現れる。作品中の分布量で申すならピアノ協奏曲第2番においてピークを形成する。「ブラームスの辞書」ではこれを「メゾピアノの巣」と呼んでいる。以下の通りだ。
- mp 第1楽章冒頭のホルン 「世界遺産級」のソロ
- mp espressivo 第1楽章48小節のヴァイオリン
- mp legato 第1楽章73小節のピアノ
- mp 第1楽章173小節のオーボエ
- mp 第1楽章333小節のホルン
- mp ma dolce 第1楽章358小節のフルート、ヴァイオリン
- mp 第1楽章360小節のオーボエ
- mp 第2楽章54小節のピアノ
- mp marcato 第2楽章102小節のヴィオラ、チェロ
- mp 第2楽章389小節のピアノ
- mp espresivo 第3楽章冒頭の独奏チェロ これも「世界遺産級」
- mp 第4楽章65小節のピアノ
- mp 第4楽章242小節のピアノ
- mp 第4楽章309小節のピアノ
たかだか4割ドボダスの段階で断言は危険だが、ドヴォルザークにおける「メゾピアノの巣」はおそらく交響曲第8番だと思われる。下記の通りである。
- mp 第2楽章冒頭 第1楽章には多分無かったと思う。
- mp 第3楽章87小節 オーボエとフルート。私がドヴォルザークで一番好きな旋律。
- mp 第3楽章119小節の木管。87小節の再現。
- mp 第3楽章151小節の弦楽器。87小節と同じ旋律。
- mp 第3楽章227小節のクラリネットとファゴット。
- mp 第4楽章26小節のチェロ。変奏主題の提示である。
- mp 第4楽章120小節の木管。コガネムシが始まるところ。
ご覧の通りみなおいしい。当然と申しては何だが作曲年は1880年より遅い1889年だ。
« ブラームスハウス | トップページ | 続最愛の歌曲 »
« ブラームスハウス | トップページ | 続最愛の歌曲 »
コメント