挽歌
死者に捧げる歌。万葉集では「相聞」「雑歌」と並ぶ三大部立の一つである。「挽」という文字には「引く」という意味がある。死者の棺を挽く時の歌だ。いわば葬送行進曲かもしれない。
棺を挽く足取りだから物理的にも心情的にも重いのだ。サクサクと軽快に流れるようなアレグロでは具合が悪かろう。ブラームスではドイツレクイエムの第2曲や、op13の「埋葬歌」などが思い浮かぶ。何よりも「ネーニエ」op82だ。「Nanie」(aはウムラウト)は、ローマに由来する「挽歌」という意味だ。友人で画家のフォイエルバッハの死を悼んでシラーのテキストを得て作曲したものだ。
ドヴォルザークにも出色の葬送行進曲がある。スターバトマーテルop58の第3曲「慈しみの泉なる御母よ」だ。付点の効果が素晴らしく、モーツアルトのレクイエムの「コンフターティス」に似ていると思う。明記こそされていないが、気分はまさに挽歌である。
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