糸杉のCD
6月10日の記事「糸杉」以来たびたび話題にしている歌曲「糸杉」のCDを発見した。弦楽四重奏版12曲については既にCDも楽譜も持っていたが、オリジナルの歌曲はなかなか入手できなかった。英国製2500円でこのほど無事ゲットである。
ドヴォルザーク25歳の作品で、アンナ夫人の実姉ヨゼフィーナへの失恋が色濃く反映しているとどんな解説書にも書いてある。全18曲からなる歌曲集だ。1887年47歳のドヴォルザークがこのうち12曲を選んで弦楽四重奏版に編曲した。とても気に入ったのでオリジナルが聴きたいと常々思っていた。ヴァイオリンソナタ第1番ト長調「雨の歌」が気に入ったから、オリジナルの歌曲も聴きたいと思うのと同じ理屈である。
聴いてみる。オリジナルの歌曲集「糸杉」とその弦楽四重奏版が1枚に収められているとは、痒いところにピタリと手が届く感じで心地よい。
歌うのはティモシー・ロビンソンというテノール歌手。弦楽四重奏版を先に聴いているから、なじみのメロディが次々と出てくる感じ。ピアノ伴奏はきわめてシンプルだ。弦楽四重奏への転写に当たり趣向を凝らしたと見るべきだ。歌曲版でサラリと仄めかされた詩的意図が、方向を変えぬまま増幅されている感じ。
弦楽四重奏側の5番と9番に見られるヴィオラ起用は、歌曲版から意表をついた感じになる。11番の第2ヴァイオリンの剽軽な音形もオリジナルには見られない。
歌曲版の楽譜がどうにも欲しくなった。
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