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2010年6月23日 (水)

営業サイド

会社がある程度大きくなると、部署間で意見が食い違うということも起きてくる。たとえば「本社」「工場」「営業」「経理」で見解が異なることも少なくない。昨今の顧客至上主義の中、日ごろ顧客に接している営業部門の発言が大きな影響力を持っていることが多い。

最終的に営業部門の意見が結論として採用された場合、営業以外の部門からは「営業サイドの意向に従った」とか「営業サイドに押し切られた」などというコメントを発することになる。

記事「さすがチェコ」でドヴォルザークの「2つのヴァイオリンとチェロ、ハルモニウムのためのマリチコスチ」を収録したCDの話をした。ご機嫌な出来映えで満足している。ハルモニウム独特の音色が弦楽器によくなじむ。改めてドヴォルザークの作品表を見て驚いた。ハルモニウムの代わりにピアノでも良いということになっている。

作品を聴いた限りでは、絶対にピアノでは味わいが落ちる。ドヴォルザークはハルモニウムを所有する知人の家で、ハルモニウム現物に触れて作曲している。楽器の特性を生かした曲になっているのだ。アタックと減衰が伴いがちなピアノでは、ニュアンスが変わってしまう。

白黒の鍵盤を指で押すという演奏方法が共通するから、ピアノ演奏の素養があればハルモニウムも弾けてしまうとは思うが、感心しない。ピアノ五重奏からヴィオラを抜いた編成になってしまう。

おそらくこれは営業サイドの判断だろう。当時の欧州でハルモニウムがそこそこ普及していたことは確からしいが、楽譜の売上ということを考えると、「ピアノ代用で可能」と公式に謳っておいたほうが市場が広がるということだ。

ここで言う営業サイドとはつまりジムロックである。

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