風呂抜き
無精者の生活の事ではない。
5音音階の話だ。世界中の民俗音楽は音階の7つの音からどこか2つを除いた音階を持っていることが多い。日本ではファとシが抜かれ、「ヨナ抜き」と通称されている。「ドレミソラ」だ。この音階の特色は半音を持たないことだ。日本人には親しみ易い。
実は実はドヴォルザークの作品にはこの手の5音音階が頻繁に現れる。解説書ではしばしばそのことをもってドヴォルザークの特色であると位置づけている。ドヴォルザークのメロディーが持つ懐かしさの根源をこのあたりに求める立場である。
本日のお題「風呂抜き」は「26抜き」だ。つまり音階から2番目のレと6番目のラを抜くのだ。ピアノの白鍵を「ドミファソシド」と叩けば、これがいわゆる「沖縄音階」だと解る。「ミファ」「シド」に見られる半音階が独特な味わいの源泉だと思われる。
5音音階の魔術師ドヴォルザークは、この「風呂抜き」も使いこなしていた感じがする。アメリカの愛称で名高いヘ長調の弦楽四重奏の姉妹作、変ホ長調の弦楽五重奏曲のフィナーレは、ほんのり沖縄テイストだ。付点のリズムと「ファミファソファ」がその原因だ。
あるいは出世作モラヴィア二重唱曲op32-4「仲良く出会ったのだから」の10小節目にも26抜きが現われるような気がする。
思うだにドヴォルザークは巧妙だ。民俗的な5音音階と、ドイツ伝統の諸形式を手品のように融合して見せる。その継ぎ目の精巧さこそがブラームスを唸らせたのだと思う。
ひとまず6月26日の記事とするのが私のこだわりだ。
<魔女見習い様
はい。けれどもまだおとぎ話は続きます。
祝八強と書きたいものです。
投稿: アルトのパパ | 2010年6月27日 (日) 09時07分
「ヨナ抜き」で真っ先に思い浮かんだのは、
韓国のフィギュアスケーター、キム・ヨナ選手でした(汗)
「ヨナ」は4番目と7番目の音のことでしたか。
「十六強」は嬉しいですね!
ドイツとスロヴァキアも。
投稿: 魔女見習い | 2010年6月27日 (日) 00時04分
<yoppy様
おお。放送大学まで26日を意識していましたか!洒落ていますね。こうなったら次に「ヨナ抜き」の話をするときは4月7日にせねばなりません。
投稿: アルトのパパ | 2010年6月26日 (土) 20時21分
昨日(25日)夜、何とはなしにチャンネルを回していて、「放送大学」で何やら音程の話しをしていたので、眺めていましたら、「音楽認知学」とういタイトルの学問で、まさしく「26抜き」「47抜き」の話しをしてて興味深かったのですが、
まさか、放送大学まで26日を意識していたの・・・!?
今まで、あくまでも音楽の側からのアプローチで、フォークロアな旋律の懐かしさの根源みたいなことに興味をもっていましたが、その番組は科学的な分析を試みるもののようでした。
奥深いですね。
投稿: yoppy | 2010年6月26日 (土) 20時05分