わずかな修正
ドヴォルザークが弦楽四重奏第9番ニ短調をブラームスに捧げたことは昨日話題にした。
ブラームスに送付したスコアは、現在流布するものと違っているらしい。楽譜を受け取ったブラームスからドヴォルザークに宛てたメッセージが残っている。作品を捧げて貰ったことへの感謝を前面に押し出したものだが、慎重に言葉を選びながら一部不備も指摘している。
「いくつかの音符にシャープやフラットやナチュラルが脱落しているようです」という言い回しだ。もちろん「気を悪くしないように」と付け加えることも忘れていない。
約1年後、今度はドヴォルザークから感謝の手紙が発信されている。
「貴重なご指摘により、作品が引き締まった」旨感謝しているのだ。現在はこの引き締め後の楽譜が流布しているハズだ。
楽譜の該当箇所を示さないブラームスのやり方で、真意が通じてしまうのだから、プロ同士とは言え大した物だ。ブラームスの指摘が単なる揚げ足取りではなく、音楽的な洞察に深く立脚した愛情の賜であることを、ドヴォルザークは知り尽くしていたと感じる。出所がやや怪しい話だが勢いで公開する。
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