ロスタイム
サッカーの用語。試合開始から45分が経過してから、終了のホイッスルが吹かれるまでの時間。「インジュリータイム」「アディショナルタイム」とも言われる。極論すれば主審のさじ加減一つで決まる。会場に掲示されたオフィシャルクロックの残り時間が無くなることが、そのまま試合終了を意味するバスケットボールとの大きな違いだ。
とりわけ後半だ。同点または1点差の時に得点の変動があった場合、ドラマと位置づけられることが多い。「ドーハの悲劇」は特に名高い。
ドヴォルザークは、1895年に発表した弦楽四重奏曲を最後にロスタイムを迎えたと感じる。残りの人生8年は、創作上のロスタイムであるかのようだ。ドヴォルザークが心の底から欲したのは決勝ゴールならぬオペラのヒットだ。交響曲や室内楽で獲得した栄光を、オペラでも勝ち取りたいと思った。ゴールキーパーまで総動員のパワープレーにも似たオペラへの傾注だが、不発に終わったと見る。交響曲や室内楽で物にした名声を得られずに終わったという意味だ。
逆にきらめくオペラの大家たちが、その創作のロスタイムで交響曲分野での成功を欲した例を知らない。
ブラームスのロスタイムは、事実上クララの死から始まった。1年も経たぬうちにロスタイムは終わる。オペラの作曲に奔走することはなかった。op121の「四つの厳粛な歌」と、op122「オルガンのための11のコラール前奏曲」だけがロスタイムから生まれている。残り時間の使い方を知り尽くした余裕のパス回しと言ったところか。
<魔女見習い様
はい。いろいろ教えられますね。でないと2033年までブログが続きませぬ。
投稿: アルトのパパ | 2010年8月 8日 (日) 12時37分
ブラームスには、たくさん教えられます。
投稿: 魔女見習い | 2010年8月 8日 (日) 09時54分