対旋律
多分ちゃんとした定義はあるのだと思う。「同時進行する複数の旋律のうち、主旋律でないほう」くらいの緩い定義しか思い浮かばない。「ブラームスの辞書」でもさすがにブラームスが用いた全ての対旋律を数え上げるには至っていない。もちろん合奏の中でヴィオラはおいしい対旋律にありつくことも多い。定義は緩くても大抵は対旋律と判るものだ。
ところが、「主旋律ではないほう」という基準が意外に悩ましい。
- ピアノ協奏曲第1番第2楽章の第1ヴァイオリンとファゴット。
- 弦楽四重奏曲第1番第3楽章の第1ヴァイオリンとヴィオラ。
- 交響曲第2番第2楽章のチェロとファゴット
たとえば上記3つはどちらが主旋律とも決めきれない。どちらが主旋律とも決めかねる複数の旋律を同時に流すのは、すこぶるブラームス的だと感じる。
さて、さる9月からブログ「ブラームスの辞書」ではドヴォルザークを特集している。お気づきの方も多いと思うが、この両者に対して第3のテーマが設定されている場合がある。下記の通りだ。
- クララ ドヴォルザークと誕生日が近いから立ち上げとともに言及。
- ジムロック 第8交響曲の原稿料を巡るトラブルを起点に。
- マネー お金にまつわるあれこれを一堂に集め「ジムロック」と絡む二重対位法だ。
- モラヴィア二重唱曲 ジムロックとのやりとりを中心に出世作を解剖する。
- スラブ舞曲 モラヴィア二重唱の成功からスラブ舞曲ブレークをジムロックを交えて
- ピアノ曲 平均律ブラヴィーア曲集からドボヴィーア曲集へ。
- ハンスリック ブラームス、ドヴォルザーク、ハンスリックの三角関係
- 舞曲 バッハとの比較を起点に
- 伝記 比較伝記学の提唱とドヴォルザーク
- 室内楽 室内楽メーカー
- オペラ オペラ月間1周年を記念して
つまりこれが対旋律だ。ブラームスをベースに、ドヴォルザークという主旋律を歌わせると同時に、対旋律を流しているということだ。テーマの錯綜振りがなんだかブラームスっぽいと考えている。ドヴォルザーク特集は規模が大きいので、こうでもしないと散漫になる。
いわば「読む対位法」である。
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