アイスヴァイン
「Eiswein」で「氷のワイン」だ。意に反して冷え込みが早くやってきて、摘み取り前のブドウが凍りついてしまった。凍ったブドウでワインを作ったらおいしかったという偶然がアイスワインの起源とされている。記録に残る最古のアイスワインは1842年のモーゼルだという。現在では超一流の畑が意図的にアイスワインを狙って作るらしい。シュペトレーゼやアウスレーゼならとっくに摘み取ってしまってそこそこの収入になるところ、意図的に遅らせるのだから半ばギャンブルである。カビネットにしておけば1000本採れるところアイスワインになると200本を切ることもあるという。もちろんうまくいった場合には当然高値で取引される。
気温がマイナス8度くらいに下がるのを待って明け方に収穫する。氷には水分だけがとりこまれエッセンスは残されるからそこを圧搾して掬い取るという発想だ。
またワインの出来を示すヴィンテージチャートはアイスワインだけ別に作られる。通常ワインの出来が良かった年に、都合よく冷え込んでくれるとは限らないのだ。19世紀でアイスワインが出来たと記録されているのは1875年、1880年、1890年とされている。ヴィンテージとして19世紀後半では最高と評される1893年にはアイスワインは出来なかったという可能性が高い。
ビルロート未亡人が1897年にブラームスをもてなしたワインがアイスワインだとするなら1875年か1880年か1890年しかあり得ない。
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