シュペトレーゼ
ワインの等級を示す言葉。法律で定められた「肩書き付きワイン」の等級名の一つ。「Spatlese」(aはウムラウト)と綴る。日本語では「遅摘み」と訳されるが、現行ドイツの規格では原料ブドウ果汁中の糖度が基準なので、必ずしも摘果時期が遅いとは限らない。
- アイスヴァイン
- トロッケンベーレンアウスレーゼ
- ベーレンアウスレーゼ
- アウスレーゼ
- シュペトレーゼ
- カビネット
1775年ラインガウはヨハニスベルグ葡萄園での出来事だ。当時葡萄の摘み取りは、領主の許可無しに実施することが出来なかった。領主の許可状を待って摘み取りにかかるしきたりだった。当時かの地の領主は現地には不在だった。直線距離で北東に150kmほど隔てたFuldaに住んでいた。いわゆる不在領主である。片道150kmを馬で往復するのに7日間かかったとされている。
その年許可状を携えた伝令が葡萄園に向かう途中追いはぎに襲われた。何も知らぬブドウ園は、待てど暮らせど原料の摘み取りにかかれない。ブドウが木にぶら下がったまま、最適時期を過ぎてゆくのを見守るだけだった。追いはぎの手を逃れてやっとこさ伝令が戻ったときには、せっかくのブドウが半ば干からびかけていた。そのままワイン造りを諦めるのもしのびなく、干からびかけたブドウでワインを造ってみると、案に相違して抜群の出来映えとなった。伝令の到着が遅れた分、ブドウの実から水分が抜け糖度が上がったというわけだ。これこそがシュペトレーゼ(遅摘み)の起源である。QmP等級5位のことではない。貴腐ワインの起源だ。
ドイツワイン独特の摘果法。一般にブドウは収穫が遅くなるほど糖度が上がる一方、酸度は下がってゆくと言われている。貴腐ワインは、カビの力を借りて酸を下げずに糖を上げるということに他ならない。ワインの品質は酸糖のバランスが大きく物を言うから、最適な収穫時期の決定は最重要事項だ。ヨハニスベルガーのこの発見はたちまちラインガウ全域、そしてドイツ全域に広まり、ドイツワインを欧州屈指の品質に押し上げたと言っても過言ではない。
ヨハニスベルグには、そのキッカケとなった伝令の像が建っているという。ドイツというのはなかなか几帳面で、この伝令くんの名前も年齢もわかっているらしい。万が一、追いはぎの像も並立していたら、座布団3枚に花丸を差し上げていたところだ。
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<てぃんぱにゃー様
貴腐は一度だけ某試飲会で飲んだことがあります。飲んだというより舐めたに近かったのですが、そりゃあもう。。。
投稿: アルトのパパ | 2010年10月19日 (火) 18時35分
こんにちは。
貴腐ワインはずっと気になりつつなんとなく買ったことがありません。
甘いんですかね?甘そうだなぁ(ずるずる)
投稿: てぃんぱにゃー | 2010年10月19日 (火) 13時31分