マラガのワイン
1897年4月1日の出来事としてホイベルガーが記述している。家政婦トゥルクサ夫人が、フェリンガーから届いた「マラガの甘口ワイン」をブラームスにすすめたとある。ブラームスは「イシュルまでとっておこう」と答え口にしていない。
これが伝記に現われる最後のワインネタだ。
「マラガ」とは地名だ。スペイン南部の海岸部、ジブラルタル海峡を地中海に入ってすぐのあたり。キリスト生誕の数百年前にはブドウの生産が始まっていた地域である。このあたりは甘口の酒精強化ワインつまりシェリー酒の産地だ。単に「マラガのワイン」ではなく「甘口」と特筆されていることからも、死の床にあったブラームスに届けられたのが「シェリー酒」だった可能性を強く示唆する。
ブラームスが64年の生涯を閉じる2日前の話だ。出来ることならベルンカステルのドクトルを届けてあげたかった。
ワイン特集もあと2日。
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