リースリンクを避けたか
懇意にしているワインショップがある。「ブラームスの辞書」を刊行する前からのおつきあいだからもう5年はたっている。品揃えはドイツワインオンリーという徹底振りが嬉しくて、我が家では節目節目にワインを買い求めることにしている。母までもがすっかりドイツワインの虜になってしまった。ここのご主人は我々顧客が買い求めていったワインを記録してくれているのだが、何の気なしにそれを見せてもらった。5年でかれこれ20本くらいにはなるのだろうか。
赤ワインを一度も買ったことが無いことは自覚していたが、何とドイツワインを代表するブドウ品種リースリンクをほとんど買っていないのだ。ショイレーベやフクセルレーベやシャルドネなどのマイナーな品種を買っていた。シャルドネはフランスワインの大黒柱ではあるのだが、ドイツワインの甘口ともなるとけしてメジャーではない。
ご主人はこうした我が家の嗜好を既に熟知た上でいろいろ薦めてくれていたのだ。むしろそれは私というより母の嗜好だ。母が酸糖のバランスで言えば糖が勝っているワインが好きなのだ。リースリンクは糖も去ることながらベースとしての酸が持ち味だから、知らず知らずにリースリンクを避けていたのだ。
ブラームスが好んだ「シュタインベルクのカビネット」は、間違いなくリースリンクだ。シュタインベルクを含むラインガウ一帯の優良畑は、ブラームス在世当時でさえ150年間リースリンクしか植えていない畑だからだ。母にリースリンクを薦めることにしよう。
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