初演の指揮者
ブラームスはその経歴の初期おいて合唱指揮者として台頭した。だから創作の初期に成立した合唱曲は、ほぼ自ら初演を指揮をしていると見て間違いない。
問題は管弦楽曲だ。純粋な管弦楽曲の他、合唱への管弦楽伴奏の作品も含めて、その初演における指揮者をリストアップした。
- 管弦楽のためのセレナーデ第1番op11 ヨアヒム
- 埋葬歌op13 ブラームス
- ピアノ協奏曲第1番op15 ヨアヒム
- 管弦楽のためのセレナーデ第2番op16 ブラームス
- ドイツレクイエムop45 ブラームス
- カンタータ「リナルド」op50 ブラームス
- アルトラプソディop53 エルンスト・ナウマン
- 運命の歌op54 ブラームス
- 勝利の歌op55 ブラームス
- ハイドンの主題による変奏曲op56a ブラームス
- 交響曲第1番op68 オットー・デッゾフ
- 交響曲第2番op73 ハンス・リヒター
- ヴァイオリン協奏曲op77 ブラームス
- 大学祝典序曲op80 ブラームス
- 悲劇的序曲op81 ハンス・リヒター
- ネーニエop82 ブラームス
- ピアノ協奏曲第2番op83 アレクサンダー・エルケル
- 運命の女神の歌op89 ブラームス
- 交響曲第3番op90 ハンス・リヒター
- 交響曲第4番op98 ブラームス
- ヴァイオリンとチェロのための協奏曲op102 ブラームス
案の定興味深い。全21曲のうち本人の指揮は13曲だ。60%強はかなりの高率と思う。ブラームス本人を除いて一人で2回以上はハンス・リヒターとヨアヒムだけだ。意外なことにハンスフォン・ビューローは初演を振っていないが、ピアノ協奏曲第2番を携えた演奏旅行では、ブラームスとビューローが指揮と独奏を交互にこなしたという逸話もある。
ピアノ協奏曲の初演では1番2番どちらもブラームス本人が独奏を担当したから、1番では指揮ヨアヒム、独奏ブラームスという黄金ペアになった。ところが後のヴァイオリン協奏曲では、指揮ブラームスの独奏ヨアヒムが実現した。
交響曲の初演で自らタクトを取ったのは、4番だけというのが不思議だ。一方合唱曲はアルトラプソディ以外はブラームスになっているから合唱曲得意もうなずける。
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