シュピーナ
ウィーンの出版社。1月29日の記事「初版刊行ランキング」では、かろうじて6位タイに滑り込んでいる。作品27と28の2作の初版を刊行した。
その刊行があったのは1864年だ。
ブラームスは1862年にウィーンに進出した。本人の回想によればウィーン進出当初、ウィーンゆかりの作曲家シューベルトの楽譜をむさぼるように写譜したという。未出版の歌曲を中心とする膨大な楽譜を所有していたのが実は、本日の主役シュピーナ社だ。シューベルトの兄フェルディナンドとのつきあいがあったらしく、シューベルトの自筆譜を大量に蔵していた。
その後シューベルト全集の刊行にあたり、一部校訂を引き受けたのは、このときの写譜の経験が土台になっていたと思われる。
ブラームスの歌曲の作風はop19までを第1期、op32から第2期に区分するのが一般的だが、1862年のウィーン進出が境目となっている。もっと深く突っ込むならシューベルトとの濃厚な接触がキッカケになったと解したい。
1864年の2作op27とop28が、シュピーナ社から出されているのは、快く写譜をさせてくれた事に対するお礼ではないかと考えている。
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