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2011年2月 4日 (金)

失態

「恥ずかしい失敗」くらいの意味か。欧州のワールドカップ予選で、強豪国がキプロスやマルタあたりに引き分けたりすると翌日の新聞に「失態」の言葉が踊る。私にとってはこの用例がもっともピッタリ来る。下手をすると監督交代の引き金になったりするから侮れない。

ライプチヒにゼンフという出版社があった。1853年作品の出版準備のためにライプチヒを訪れたブラームスに近づき、いくつかの作品の初版刊行を任された。当初ブラームスはシューマンに紹介されたブライトコップフが第1の選択肢だったが、一本化することを避けた。

作品5としてイ短調ヴァイオリンソナタの原稿を手渡したが、出版前に急遽ヘ短調ピアノソナタに差し替えられた。現在のピアノソナタ第3番である。おそらくこの差し替えの際、ブラームスはイ短調ヴァイオリンソナタの原稿の返却を求めたハズだ。そしてゼンフはその求めに応じて返却したのだ。

気の毒な面もあるが、私はこれを「失態」と呼びたい。

ブラームスの求めに応じて返却したこと自体は仕方がない。返却前に誰かに写譜させるくらいの知恵は回らぬものかと心から思う。現にミサ・カノニカや、初期の合唱作品のいくつかは返却に応じると同時に密かに作成されていた私的な筆写譜によって現在に伝えられている。出版のプロである彼等にとってソナタ1曲の写譜なんぞ朝飯前だろう。企業倫理に反するかもしれないないが、粋な計らいだとも思う。

今後、ゼンフ社の倉庫の中あるいは関係者の子孫の家から、ブラームスのイ短調ヴァイオリンソナタの筆写譜でも発見されたら、そのときは喜んで本日の失態呼ばわりをお詫びさせていただく。

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