第3ソナタをめぐって
本日の主役はピアノソナタ第3番ヘ短調op5だ。
ブラームスが残した最後のピアノソナタだ。発売されているCDという観点から眺めるともっとも人気の高いピアノソナタということも出来るが、何故か謎も多い。
交響曲、室内楽を含めたソナタでは、唯一の5楽章制を採用している。初演などで批判にサラされたわけでもないが、その後ピアノソナタが書かれていない。
また当初イ短調のヴァイオリンソナタがop5としてライプチヒの出版社ゼンフに手渡されていたが、出版前に急遽ピアノソナタ第3番に差し替えられた。イ短調ヴァイオリンソナタはその後破棄された。
献呈先イーダ・フォン・ホーエンタール伯爵夫人というのも謎めいている。弟フリッツの就職で世話になった謝礼というのがどうやら真相のようだ。
さらに一部の伝記は、後年ブラームスがこのソナタを改訂する意向を持っていたと伝えている。結局は踏みとどまっているが興味深い。
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