お世話になったあの方に
贈答品CMの名文句だ。
3月14日の記事「献呈者名簿」をご覧いただく。作品10以内の若い番号は8番を除いて全て誰かに献呈されている。献呈相手を見ると一定の傾向が読み取れる。
1853年10月初めて訪れたシューマン邸で出会った人々への献呈だ。
ブラームスの創作人生に決定的な転換点になった出来事だ。熱狂したロベルト・シューマンは、激賞する記事を投稿する一方で、有力出版社に刊行をかけあう。その結果1853年12月から翌年初頭にかけて、ブラームスの初期作品が相次いで出版される。
このときの献呈先は、シューマン邸訪問以降の一連の出会いの中で、「お世話になった方々」への謝礼の色彩が濃い。
それだからこそロベルト・シューマン本人に対して献呈された作品が無いことが余計に目立っている。
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