献呈されない不思議
ロベルト・シューマンがブラームスから作品の献呈を受けていないと書いた。
もう一人意外なことに作品の献呈を受けていない人物がいる。クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトだ。ブラームス最晩年のクラリネット入り室内楽は、ミュールフェルトとのコンタクトから生まれたことは間違いない。ブラームスの惚れ込みようは半端ではないが、作品の献呈は一切されていない。
おそらくブラームスにもその意識はあったと思われる。その証拠にクラリネットソナタ2曲の自筆譜が、ミュールフェルトに贈られている。
ブラームス自身の社会的地位の向上により、献呈という行為が重みをました結果だと思われる。印刷譜の表紙に名前が載るよりも、作曲者本人から自筆譜を貰う方が嬉しいという考え方もありそうだ。
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