発番の担い手
2009年7月14日の記事「作品番号のコントロール」でブラームスが自作に付与する作品番号をある程度コントロールしていたかもしれないと書いた。
ブラームスは手許の作品を出版社に送付する際、表紙に印刷する作品番号をいちいち指図していたと解したい。作品の出版がジムロックの独占体制になる以前は、その手のコントロールがますます重要になる。出版済み作品のうちの最も大きい番号が、最新の作品とは限らないからだ。大管弦楽作品とピアノ小品では、刷り上がりまでの所要時間が違っていて当たり前だ。先に渡した大管弦楽作品よりも、後から渡したピアノ小品の方が先に刷り上るというのは大いにあり得る。
だから現在流布する作品番号は、厳密には作品の完成順ではなくて、出版のためにブラームスが出版社に原稿を手渡した順となる。発番のコントロールは、あくまでもブラームス本人が司っていた。本人の一括管理が絶対に必要だ。
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