献呈の頻度
本日話題の献呈は「印刷譜の表紙に献呈の辞を載せる」というもっとも正式なパターンのことだ。3月14日の記事「献呈者名簿」をご覧頂く。ぶっちゃけた話、献呈された作品は創作史の初期に多い。
以前にも述べた通り、初期は「お世話になった人々」への謝礼が多い。自らが楽壇で認められた喜びの反映とも思える。
中年期以降になると、プライヴェートな相手には献呈の形をとらず、自筆譜のプレゼントが多くなる。献呈はあくまでの「公の場」だから、ブラームス自身の社会的地位が上がるにつれて、迂闊に選択出来なくなるようだ。伝記上での登場頻度ではかなりなレベルの人物に対しても、なかなか献呈されていない。
さらに交響曲が誰にも献呈されていないことも目立つ。ベートーヴェンの場合には、誰にも献呈されていない交響曲は、9つのうちただ1曲8番だけだ。献呈という行為の持つ影響力を考えて慎重になっているとも映る。
献呈は時間の経過とともにますます「よっぽどの事」になってゆく。
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