Marcia funebre
葬送行進曲という意味。ブラームスでは「埋葬歌」op13の冒頭に「Tempo di marcia funebre」として用いられる。「葬送行進曲のテンポで」と解される。この曲実はお宝だ。
ソプラノ、アルト、テノールに2分割されたバスという混声五部合唱。オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンに3本のトロンボーンとチューバ、それにティンパニが加わる伴奏。トロンボーンがやたらカッコいいので次女がすっかり気に入っている。テキストは16世紀のボヘミアの賛美歌から採られている。ハ短調4分の4拍子。演奏時間約8分の小品ながら只者ではない。1860年の出版だが、作曲は1858年に遡る。
ブラームスが残した最古の葬送行進曲と見て間違いない。とりわけ長いクレッシェンドの果てに鎮座する凄絶なフォルテシモは、ドイツレクイエムの第2曲を先取りしているように思える。ティンパニの3連符が瓜二つだ。
さらにここだけの話だが、冒頭の粛々とした歩みは、最晩年のインテルメッツォ嬰ハ短調op117-3を髣髴とさせるものがある。お叱り覚悟ついでに申せば、さらにその先4つの厳粛な歌op121の1番にまでつながっているような気がしてならない。
「宗教的な歌」op30とならぶ初期合唱曲の白眉だ。
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