エプシュタイン
ユリウス・エプシュタイン(1832-1926)は高名なピアニストで、ウィーン音楽院のピアノ教授も勤めた。
ブラームスの伝記への登場のしかたが面白い。1864年のことだ、エリザベート・フォン・シュトックハウゼンという乙女がブラームスの前に現われた。相当な才能と、これまた並大抵でない容姿に恐れをなしたブラームスは、彼女の指導を他人に押し付ける。このときエリザベートの指導を委ねられたのがエプシュタインだった。この乙女こそが後にハインリヒ・フォン・ヘルツォーゲンベルクと結婚したリーズルその人だ。
ブラームスとエプシュタインとは歳も近く、気を許したお友達だった。
時は流れて1875年。このころ既にウィーン音楽院のピアノ教授になっていたエプシュタインの前に15歳の少年が現われた。ピアノ演奏を聴いて感銘したエプシュタインは、少年をいきなり上級クラスに受け入れた。以降少年はエプシュタインの薫陶を受けて才能を開花させてゆく。ブラームスにとってのマルクゼンにも匹敵する存在だ。
少年の名はグスタフ・マーラー。
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