フンメルフンメル
ハンブルクっ子の挨拶。「Hummel Hummel」と綴る。スラングもいいところの言い回し。「Hummel Hummel」と呼びかけられたら「Moas Moas」と応じるのが本場の受け答えだ。
19世紀半ばまでのハンブルクはまだ上水道が完備していなかった関係で水運び人が職業になっていた。元兵隊のハンス・フンメルは、子供好きで、近所の子供を集めては兵隊の話をして聞かせた。彼の住居に引っ越してきたのが水運び人のヨハン・ウイルヘルム・ベンツという男。無愛想な男だったが子供たちは前の住人のフンメルが忘れられずに、ベンツを見かけると「Hummel Hummel」とからかった。当の本人が「Moas Moas」と応じたのがいつしか人々に広まったという。「Moas」はハンブルクの方言で「尻の穴」のことだ。子供たちは最初のうちこそ、フンメルを懐かしんでいたのだが、そのうちにこのやりとりそのものを楽しむようになった。
お互いがハンブルクっ子であることを確かめる合言葉のようになっている。「Hummel Hummel」と声をかけて相手がハンブルクっ子なら必ず「Moas Moas」と応じるということだ。
ベンツもフンメルも実在の人物でブラームスの生きた時代より少し前か重なるくらいの時代。そして今も尚この言い回しが伝えられているということは、ブラームスもこのやりとりを知っていた可能性が高い。
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