魔弾の射手
カルル・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)のオペラのタイトルだ。ドイツロマン派オペラの幕開けとなった記念碑的作品。序曲に現われる荘重なホルンのアンサンブルは、森のオペラの面目躍如だ。「狩人の合唱」はドイツ男声合唱中屈指の名曲だ。
ブラームスとの関係で申せばヒロイン・アガーテのアリアが、ドイツレクイエムの再演の際、第3曲の後に挿入されたこともある。ブラームスは第2幕「狼谷」の場面を引き合いにウェーバーの手法を称賛する。
ここから、作品の解説やお薦めCDネタに流れないところは、最早お約束でさえある。おバカな脱線こそが生き甲斐だ。
「魔弾」は文字通り悪魔の弾丸だ。6発は射手の思いのままに命中するが、7発目は悪魔の思うところに命中するという。「魔弾の射手」の原題は「Der Freischutz」という。赤文字の「u」はウムラウトする。「フライシュッツ」とでも読むのだと思う。
音楽之友社刊行の「作曲家◎人と作品シリーズ・ブラームス」の19ページに15歳のブラームスのコンサートの記述がある。ベートーヴェンの「ワルトシュタイン」を演奏したエピソードだ。新聞誌上に好意的な批評が載ったとあるが、この新聞の名前が「フライシュッツ」とされているのだ。カタカナで書かれているから元のスペリングがわからないが、邦訳すれば「魔弾の射手紙」なのかもしれない。この新聞が日刊紙で、日曜休刊だったら、完璧な洒落だと思う。6発は射手の思いのままに命中するが、7発目は悪魔の思うところに命中するという魔弾のコンセプトにピッタリである。悪魔の思うところに命中しては困るから日曜を休刊していると解し得る。
1821年6月21日「魔弾の射手」初演だから今日は記念日。初演場所がハンブルクだったら完璧なのだが、そうも行かずにベルリン。
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