ブラームス神社

  • 道中安全祈願

おみくじ

  • テンプレート改訂しました

独逸日記

  • ドイツ鉄道博物館のおみやげ
    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

ビアライゼ

  • Schlenkerla
    自分で買い求めて賞味したビールの写真。ドイツとオーストリアの製品だけを厳選して掲載する。

カテゴリー

« 女声合唱のための日曜日 | トップページ | レージンク夫人 »

2011年8月 8日 (月)

Fix oder Nix

音楽の友社刊行の作曲家◎人と作品シリーズの「ブラームス」に興味深い記述を見つけた。63ページだ。

ブラームスがハンブルグ女声合唱団を指導していた時代のエピソードである。団員の心得を記した規約をブラームスが起草したとある。起草にあたってのモットーが本日のお題「Fix oder Nix」だったとされている。「全てか無か」という訳語が添えられている。独話辞典を引くと「Nix」「Nichts」と同じ意味とある。「無」という解釈で混乱はない。一方の「Fix」を「全て」と記述した辞書は見当たらなかった。それ以前に名詞として収録されていない。「確固たる」とかいう意味の形容詞として載っていた。「oder」は英語で言うところの「or」だ。おそらくブラームスは「ix」という語尾の押韻を意識していたと思う。歌曲のテキストについての繊細な感覚を見る限り間違いのないところだ。「Fix」が少々無理目なのはそのせいかもしれぬ。

「さっさと決めてやっちまおうぜ」というノリを想定したい。

「Fix」の訳語が「全て」でいいのかどうかは棚上げするとして、若きブラームスがこのようなモットーを掲げていたこと自体が大変興味深い。どの程度マジだったのかは伺うことは出来ないが、心にもないことではあるまい。規約本文には「出席の義務」や「時間厳守」が謳われていたらしい。欠席者が多かったことや、時間が守れない人がいたことの裏返しであり、驚くには当たらないが、こうした雑務に関わっていたブラームスを思うと微笑ましい。

「全てか無か」というモットーは、満足できない作品を廃棄しまくったブラームスの行動と矛盾しない。私としては「Frei aber Froh」というモットーよりは数段納得性が高い。頭文字を並べて「FON」にした場合、音名に存在するのが「F」だけなので楽想に発展しにくいのが唯一の難点かもしれない。

後に子守歌を贈られるベルタ・ファーバーはこの女声合唱団のメンバーであった。

« 女声合唱のための日曜日 | トップページ | レージンク夫人 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Fix oder Nix:

« 女声合唱のための日曜日 | トップページ | レージンク夫人 »

フォト

ブラームスの辞書写真集

  • Img_0012
    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ